つながりたくない日に出会ったマンガ。〈山と食欲と私〉

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去年の秋、いろいろな転機を迎えてとにかく疲れていた。どうしても、ひとりの時間が欲しかった。家ではなく、別の場所で。

ほんとうなら3ヶ月に1度くらいのペースで旅へ出たい。近場に日帰りでも全然いい。でもなかなか出られない時だってある。

ふと、以前取材へ行ったホテルのことを思い出した。

都内に住んでいるにも関わらず、わざわざ23区内に泊まる理由はないけれど、どうしても気分転換したかった。

 

「明日は出張になったよ」

家にいたってひとり。泊まってもひとり。それならば……!と、仕事用のバックパックに部屋着や最低限の荷物を詰め、ポチッと予約した。

贅沢はできないし、きっと贅沢したところで今の気持ちは晴れない。

昼間の打合せを終え、「こんなことをしてていいのだろうか」と後ろめたい気持ちになりながらも、足取りは軽い。

宿は、神保町と小川町の中間にある〈マンガアートホテル〉。5000冊の本に囲まれて、一晩中マンガが読めるホテルだ。

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ほら穴のような、ひとり寝られるだけの小さなスペースにぐいっと入ると、四方から守られているようで落ち着く。

気になっていた作品、その場で出会った作品を手あたり次第読んでいたら、ふと女の子が食べものに囲まれている表紙と目があった。

食べものにまつわる作品は、ここ10年で増えたように思う。その中でも、山とひとりが好きな主人公に惹かれた。

都会での窮屈な暮らしとバランスを取るべく、週末ひとりで山へ向かう主人公。

つながりすぎて、余計なストレスを抱えないように、時には過度なくらい人を遠ざける。遠ざけすぎた結果、悩んで後悔する姿も愛おしい。

そして、山で偶然出会う人との交流を描くシーンは、きっとアウトドアが好きな人なら「自分もこんなことあったな」と思い出にふけるに違いない。

その場限りの出会い。知らない人とおすそわけしたり、話がはずんだり。その後も交流が続くことは稀だけれど、だからこそ、その場の出会いを楽しめることだってある。

ひとりを楽しめる人は強い。

いつも強くなくたって、楽しもうと切り替える姿には励まされるはずだ。

それに、この作品に出てくる山ごはんは、どれも手軽なのにおいしそうで作ってみたくなる。創作レシピに挑戦して、たまに失敗しているのもリアルでいい。いつも成功するとは限らなくても、やってみることに価値がある。

 

10年ほど前にキャンプへ連れて行ってもらって以来、家でキャンプ飯を作って気分を盛り上げていた。アウトドアごはんのレシピは、何も作りたくない時にも簡単に作れるのがいい。もちろん、外で食べる方がごちそうになるけど、家で再現するのも違った楽しさがある。

ラーメンにソーセージを入れただけの山ごはん、眠れない夜のホットワイン。フライドポテト入りのホットサンド。

思い立ったらすぐ真似できるレシピを次から次へと作ってみる。

自分にご褒美をあげる手立ては、いくつあってもいい。この本から、自分の機嫌をとる方法を学ぼう。

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