あたらしい解釈で昔話を。「日本のヤバい女の子/はらだ有彩」を読みました。

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浅草育ちの街歩きエッセイスト。1981年生まれ。夫と二人で東京下町暮らし。 30代の女性に向けて「知られざる街の魅力」をお伝えする「かもめと街」を運営。 →くわしいプロフィールはこちら

物語の主人公の「その後」について考えることがある。

「あの人はあの後、幸せに暮らしているだろうか」なんて考え始めると止まらない。

症状がひどいときには、そのストーリーに触れた後、1週間くらいそのことばかりに思いを巡らせてなにも手につかなくなる。

こんな風に、誰かが作ったキャラクターに思いを寄せることに囚われてしまう人っているんだろうかとずっと思っていた。

 

今日は最近読んだおすすめの本、「日本のヤバい女の子」をご紹介します。

 

 

「日本のヤバい女の子/はらだ有彩」は、あたらしい見方を教えてくれる本 

 

「昔話に出てくる女の子たちに、新しい解釈でよりそって見てみる」というのが「日本のヤバい女の子」。

このエッセイ集では、昔話のあらすじをわかりやすく説明した後、はらださんの解釈で新たな「枠からはみ出た昔話」を魅せてくれました。

 

昔話の中には、たくさんのエキセントリックな女性がいます。

彼女たちはひどく不親切だったり、恐ろしく身勝手だったり、気まぐれで猟奇的だったりします。

たとえば、「浦島太郎」に登場する乙姫は、開けると老人になる玉手箱を何の説明もなく贈ります。

「竹取物語」のかぐや姫は、求婚者たちに無茶なプレゼントを求めます。「古事記」「日本書紀」のイザナミは、腐敗した姿を見られたことに激怒し、黄泉の国まで会いにきてくれた夫に襲いかかります。

「怪談牡丹灯籠」のお露は、毎晩好きな男の家の周りをうろつき、憑り殺してしまいます。

引用:日本のヤバい女の子/はらだ有彩

 

今までに聞いた「昔話」のなかでは、理解不能だったキャラクター。

だけど、本を読んでみると、本当に「昔話」のそのままの解釈で合っているのかな?と問いかけられます。

わたしたちとなんら変わりのないフィールドで「もしかしたら、この子は普通の女の子だったのかもしれない」という目線で見ると、二次元だった世界からひょいっと気軽に出てくるような、そんな気がしてならなくなります。

「よくわからない変なやつが出てくる」ので終わらせるのではなく、ほんとうは語られざる一面があるのではないかと掘り下げていくのが、この本のおもしろいところ。

 

「日本のヤバい女の子/はらだ有彩」で印象的だった話

献身とヤバい女の子/おかめ

あらすじは、ざっくりとこんな感じ。

ベテランの大工を夫に持つ妻(おかめ)が、夫の仕事の大失敗にアドバイスをし、難を逃れ大団円。

となるかと思えば、手助けしたのがバレると夫の顔に泥を塗るのではないか、と危惧する妻が自害してしまいます・・・。

献身的な良い妻、良い夫婦として語り継がれているという昔話に、「ちょっと待てよ」とばかりに鋭いメスを入れるはらださん。

昔話が作られた頃にあったであろう価値観を、今の価値観に落とし込んで「それってどうなの?」と切り込んでいきます。

おかめが、世間体を気にして姿を消そうと悩んでいるのだとしたら、こう声をかけたいと。

 

もしも友達だったらそうやって笑うあなたを張り倒し、「うっせーバカ!アホ!ステーキ食ってカラオケ行くぞ!」とキレることができたのに。

引用:日本のヤバい女の子/はらだ有彩

 

落語版「さらやしき」

「夏は怪談で涼しく」という決まり文句、みなさん聞いたことがあるかと思います。

そんなフレーズに、はらださんはこう言います。

 

「『涼しく」ってお前!こっちは死んでるんやぞ」とキレたりしないのかな・・・

引用:日本のヤバい女の子/はらだ有彩

 

これ、わたしも長年ずっと思ってたんです。

作り話とはいえ、亡くなった人に対して失礼じゃない?って。

作り話なのに面倒なこと言うな・・・と思われるのは分かっているんですが・・・。でも別に涼しくならないし・・・。

と言いつつも、子どもの頃は夏になると、怪談特集のテレビをさんざん観ていましたけどね。タオルケットをかぶって。

他にも、「うぐいす女房」や「堤中納言物語」など、興味深く読ませていただきました!

 

ああ、昔話に出てくる「ヤバい女の子」のそばに、はらださんを送り込みたくなる・・・!

「ああ、助かった。ちょっとわたし、どうかしてたよね。」と救われる「ヤバい女の子」が続出するはず。

 

いや、ちょっと待って。

むしろ「今のわたしたち」に通じるメッセージがたくさん込められている気がするんです、この本。

他人の価値観や自分の思い込みに苦しめられている人に、どこかしらで刺さる話がちりばめられているんですよね。

あたらしい解釈で昔話を読んでみたいかたも、他人の価値観を気にしがちな人も、読んでみると新たな世界の扉を開けるかもしれません。

おすすめ!

 

 

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2018年8月の「いま、読みたい本」 #かも街books

 

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