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熱海の喫茶店巡り。親子で営む67年目の「ゆしまジャズ喫茶」で熱海の歴史を辿る

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「また、来てね」

ぎゅっと握り返された手の力強さにハッとする。

熱海の地で、67年間もの歴史を見てきた97歳の女性オーナーは、「ジャズ喫茶」という敷居の高さを乗り越えて「入ってみてよかった!」と思えるくらい、素敵な笑顔で見送ってくれた。

 

路地を入ると、扉の向こうから漏れ出てる音量のジャズにワクワクする。

ジャズはなんとなく好きで、知識はないけれど入ってみたい。

そんな人でも入っていいのかな?なんて思いながら、おそるおそる扉を開けてみると、紳士的な男性オーナーが「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれた。

ここは、67年前に熱海の地にオープンした「ゆしまジャズ喫茶」。

 

 

熱海の喫茶店「ゆしまジャズ喫茶」店舗外観

熱海駅からのんびり歩いて約15分ほど。急な坂道を降りたり登ったり。細い路地を入ると、気になる看板が。

 

お隣の建物の窓もかわいいし、気になる路地。

 

中が見えないお店に入るのは勇気がいるけれど、えいっと入ってみました。

 

熱海の喫茶店「ゆしまジャズ喫茶」店内

店内はたくさんのポスターやチケット、海外のお土産などで埋め尽くされています。あちこちじっくり見たくなるほど、67年の歴史が詰まった店内。

 

言葉でも言い表せないし、写真でも表現できないけれど、小さな空間にぎゅっと濃密な時間がつめこまれていて、それなのに感じる居心地のよさは、きっと店主・土屋さん親子の穏やかな笑顔のおかげ。

2年ほど前から息子さんが継いでらっしゃるとのことですが、95歳まではご自分でお店を運営されていたそうで、もうなんだかめまいがするほどかっこいい生き方。

扉を開けた瞬間、カウンターに座るおばあちゃんが大音量のジャズに身をゆだねて聴き入ってた姿はとても印象的でした。お客さまかと思いきや、店主さんだったとは・・・。

息子さんに、熱海の話を聞かせていただいたところ、昔はこの辺りのホテルには、お抱えのミュージシャンがたくさんいたそうで、夜な夜なライブを行っていたそう。そんな方々が集まる場所が、この「ゆしまジャズ喫茶」だったそうです。

一時期は観光地としての熱海の人気は凋落しましたが、ここ数年はまた賑わいをみせているそうですよ。

そうそう、お店でかけていただいた曲がとても素敵でうっとりしていたら、「どうぞ」と見せていただきました。

 

エラ・フィッツジェラルド。アメリカのジャズシンガー。声がとっても美しい。

こういう方で他にもオススメありますか?とお聞きすると、息子さんが「サラ・ヴォーンとかカーメン・マクレエもいいんじゃないですか?」と教えてくださいました。旅先で知る音楽って思い出に残りますね。

いつの間にか、97歳のマダム土屋さんのお隣にお邪魔して、現オーナーである息子さんと3人でお話ししていました。

 

ふとカウンターを見ると、このお店の昔のマッチがずらり。どれもモダンで集めたくなるイラスト。

 

あまりの暑さに、ほんの少しの間アイスコーヒーをいただいただけですが、このお店に巡り会えたことで、とても良い熱海の思い出ができました。

 

あの日以来、「なんだか最近つらいなぁ」と思った瞬間、マダム土屋さんが手をぎゅっと握ってくれたときの笑顔を思い出し、まだまだこれからだなって思いながら日々を過ごしています。

あんな風にかっこよく年を重ねていきたいから。

 

熱海の喫茶店「ゆしまジャズ喫茶」店舗情報

ゆしまジャズ喫茶

 

次に読むなら、熱海の海辺にある喫茶店「サンバード」へ

海の見える喫茶店で、あつあつのナポリタンを。

熱海の喫茶店巡り。海の見える喫茶店「サンバード」でナポリタンを。

 

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