食べものは、いとも簡単に人の心を変える。
映画「かもめ食堂」で、サチエさんが握りたてのおにぎりを差し出したときのように、小さなスプーンで掬った乳白色のデザートは、わたしの刺々しい心をあっという間に溶かした。
今朝、些細なことで気が立っていた。
どうにも落ち着かず、想定外の小さなすれ違いが大きくのしかかる。ドアを思い切りバタンと閉め、逃げるように目的地に向かった。
その食堂へ足を踏み入れると、まるで森の中にあるロッジのよう。窓にはやわらかな線で描かれた木々のイラストに、古材をつかった床。
真鍮のような味わい深いテーブルランプ。ざっくばらんに壁へ書かれたメニューの数々。その気どらなさに、緊張した心がほどける。
カレーとデザートを食べ、おいしさを噛みしめていたら、「あんなに怒ることなかったな」と思い直した。一緒に食べに来れたらよかったのに。
店を出て、すぐに「さっきはごめんなさい」とメールを送る。
いつになく意地っ張りな自分を捨てて素直に謝ろうと思えたのは、あまりにおいしいデザートと心温まるサービスのおかげ。
ささやかな出来事だけど、多分しばらく忘れそうもない、たった1時間ちょっとのできごと。
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今日6/17に、馬喰町の〈minä perhonen elävä Ⅱ〉と同じフロアに食堂がオープンしました!さっそく行ってきたので、レポートでお届けします~。
馬喰町ミナペルホネンのカフェ〈puukuu (プークー)食堂〉店舗外観
ミナペルホネンの新しいカフェ〈puukuu (プークー)食堂〉があるのは馬喰町のアガタ竹澤ビルの2階。
目印はこちらの看板!
最寄りはJR馬喰町駅・都営新宿線馬喰横山駅ですが、東京メトロ日比谷線・小伝馬町駅や都営浅草線・東日本橋駅からも徒歩圏内です。
プークー食堂の営業時間は11時から20時とのこと。開店30分前に行くと整理券をいただきました。
たぶんしばらくは整理券で入る感じになりそうな予感です。
馬喰町ミナペルホネンのカフェ〈puukuu (プークー)食堂〉店内
食堂の名前になっている「puukuu (プークー)」とは、フィンランド語でpuu=木、kuu=月をしめす言葉とのこと。
わたしはロッジのような雰囲気に感じましたが、いかがでしょうか。
皆川さんが手描きで描かれた木に囲まれる店内。
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じょうごがこんな風にインテリアとして使われてるの、初めて見た。(漏斗ですよね…?)
壁は、刺繍をするときに使う転写プレートのようです。
天井にはやかんが…!かわいい…!
奥に物販スペースがあり、蕪木のコーヒーなどがありました。
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馬喰町ミナペルホネンのカフェ〈puukuu (プークー)食堂〉メニュー
プークー食堂のメニューはこちら。
日替わりのカレーとスープがメインで、軽めのおつまみメニューもあって、だいぶ迷いました。
今回はカレーに。
トマトベースでスパイスが効きつつ、さらりとしたカレー。とろとろのズッキーニとゴーヤ、ナスとトマトの夏野菜とチキンが入ったカレーに、もちもちの玄米がたまりません。
口あたりのよい、なめらかなスプーンも素晴らしい。
家で使ってる三谷龍二さんのカトラリーに手触りや雰囲気が似てて。以前、馬喰町にあるミナのギャラリーでも展示されていたのでもしや…と思いましたが、聞くの忘れました。違ったらごめんなさい。
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デザートは「甘酒寒天とレーズンあんこ」にアイスコーヒー。
ミナのプレートで出てきたデザートとコーヒー。聞き忘れたけど、蕪木さんのコーヒーだったんだろうか…!
この、甘酒寒天がこの世のものとは思えない美味しさ。寒天ってこんなになめらかだっけ…すべてがちょうどいい甘さ。甘酒ってこんなポテンシャル高かったっけ…
レーズンあんこ、という聞きなれないフレーズも、決して脇役ではありません。レーズンを引き立たせるバランスの良いあんこの甘さ。こんなに相性のいいコンビあるだろうか…。
あたりを見まわすと、ガトーショコラもコロッケもどれも美味しそうで、これは何度も通って全部制覇したい。吉田牧場のチーズも気になる…!
メニューや店の雰囲気もさることながら、スタッフの方々の接客の素晴らしさよ…!アンケートをお願いされたので、色々書いてテーブルに置いて会計しようとしたら、「嬉しいです…!後でみんなで読みます」とその場で壁に貼っていました。
スタッフの方々も受け答えが親切丁寧で、気取ってもマニュアル的でもなく、穏やかなところにとても癒されました…!
最後にもさりげない素敵なサービスがあるのですが、行ってのお楽しみに。
今日はオープン日だったためか、着いた途端に皆川さんともお会いできました。タイミングよくバッタリと会えることが多く、その度に自然な佇まいにうっとりしてしまいます。あんな大人になりたい…
帰りに、同じフロアにあるショップを覗いたら、「レター」という皆川さんの詩集のような本を見つけ、その言葉に射抜かれました。
また不安に押しつぶされそうになったら、この本を開こう。そして、またここでごはんとおやつを食べよう。そう誓いました。
馬喰町ミナペルホネンのカフェ〈puukuu (プークー)食堂〉店舗情報
minä perhonen elävä 公式Instagram
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