ブックバーひつじが シモダさん
あっという間に6月も終わりに近づいていますね。梅雨特有のだるさを少しでも軽くすべく、毎朝ストレッチを始めました。たった10分なのに効果てきめんで、いつもよりは体がラクな気がします。あ、ひとつウソをつきました。毎朝といいつつ、なぜか週末はサボっています。シモダさんもすでに夏バテ気味とのことだったので、働かねばならぬ日限定のストレッチ、おすすめです。いや、毎日やれよって話なんですけど。
文学フリマの規模が拡大するにつれ、どんどんと新しい作品&作家が増えていきますね。前回のお手紙にあったように、書店に置いてもらいたい作家と限られたスペースで置きたい作品を選ばねばならぬお店側の苦悩、どちらも見えてくるようで「この気持ちもわかる」「でもこっちの気持ちもわかる」と歯がゆさを感じました。
そういった意味でも、ひつじがさんで定期的に開催されているZINEイベントはすごくいいですね!作家にとっての締め切りがあることの効果は絶大です。ないといつまででも「まあ、次でいっか」って思いがち。だって、ふつうに日々の生活をまわすだけで1日終わりますからね。
前回紹介してくださったZINE、どれも日常を切り取り、それでいて3作品とも見せ方がそれぞれ違っていて勉強になりました。しりさんのタイトルの強さもおもしろいですし、藤岡さんの日記は同じ日付で年度を行き来するさまは、まさにタイムトラベラーな藤岡さんならではの発想ですね。10歳の日記が現存するのがすごいです。シモダさんも書かれていましたが、過去の自分のメッセージ、わたしも読みたくなさすぎます。ブログを始めた頃の記事とかもそう!とはいえ、消えてしまうとそれはそれで、その時の自分の感じたこととかは一生思い出せないので、それはそれとして残しててもいいのかもとも思うのですが。
それでは、今回の紹介に移ります。
花を刺す ーエレガント・エディションー / 大木芙沙子
先月の文学フリマ東京でどうしても欲しかったものの買いに行けず、後日通販で購入しました。
なんといっても表紙の華やかさ!一瞬で惚れさせる装丁って素敵ですよね。SNSでこの表紙を見ただけで絶対買おうと思っていて。デザインは大阪にある「犬と街灯」の谷脇栗太さんが手掛けられています。
『花を刺す』には、ちょっと不思議な短編小説が17作品収録されていて。冒頭の『金子さん』は、スーパーのパート募集に応募してくる金星人の話なのですが、描かれる受け答えから金星人である金子さんのチャーミングさが伝わってきて、頭の中で実写化の想像をして楽しみました。
続く『ともだち』はワニを飼っている人の話なのですが、これも味わい深くていいんですよね……。全編通して、どことなく物語の登場人物同士の距離、ひいては作者と登場人物との距離の取り方が好きなのかもしれないなと思いました。
Super Book / しまこう
先日の文学フリマ岩手で、作家のせきしろさんと同じブースで出されていた、しまこうさんの作品。
旅先でその土地ならではのスーパーマーケットに寄るのが好きだという作者の、スーパー愛溢れるZINE。なんというか、自由律俳句はもちろん、写真も飽きさせないページデザインもすごくいいんですよね。いや〜、こういうの作りたいな!
スーパーのバックヤードがチラッと見えたときとか興奮しません? このZINEの中に、カートにずらっと白菜が並べられてる写真があるんですけど、ああいうのすごく好きで。でもきっと共感されないだろうと思って誰にも言ったことがなかったので嬉しくなりました。(全然共感できなかったらすみません。その場合は酒屋の瓶が入ってるコンテナがずらっと並んだ様子を思い浮かべてください)
ちなみにわたしもその土地のスーパーに行くのが好きなのですが、家族には全然理解されず、夫の実家の近くのスーパーで「ねえ!見たことない味噌がこんなにたくさんあるよ!」と興奮しては華麗にスルーされています。
自分でやってみる人のための校正のたね/ サワラギ校正部
自分でZINEを作り始めた人は、全員一冊持っておいた方がいいのでは。そんな気持ちにさせたのは、こちらの作品でした。
内容的にはとてもシンプルで、校正が具体的にどんなことをしているのか、初めて自分で手がけるとしたらどんなことに気をつけるのが良いのかが端的にまとめられていて。
誤字脱字はもちろんのこと、間違って使われている言葉がないか、内容に齟齬がないか……などなど、最低限抑えたい項目だけでも、過去の自分の制作と照らし合わせて振り返ってみると、全然ちゃんとできておらず、後々後悔したり……!
ZINEという形なら、そこまでミスにこだわらなくてもいいとは思いつつ、やはり間違いがあると、読み手としてはいったん集中力が途切れてしまうことは否めないので、次回作るZINEはこちらを片手に作品のクオリティをあげたいです。
先日、文学フリマ岩手に初めて出店しました。
初のイベント遠征に気持ちが高ぶり、謎に3時半に起床して寝不足のまま盛岡へ。
盛岡の方をはじめ、かたや仙台から、そして秋田からいらした方も多く、来場者のみなさんの高ぶる熱量を感じました。もしかしたら、東北にはまだまだ文フリ的なイベントが足りてないのかもしれませんね。出店をとても喜んでくれた読者さんにもお目にかかれて、みずからあちこちへ向かう大切さも学びました。
まあ実際は全部のイベントに参加するのは難しいのですが、東京以外でも仲間づくりをしてゆけたら、もっと楽しい人生が待っていそうだな!と。当日買った作品でまだ読めてないものもあるので、おいおい紹介しますね!
来月7月14日(日)には、連載させていただいている文芸誌「星々」が主催の「星々文芸博」というイベントに出店します。どちらかというと小説家の方が多いのかな。
エッセイを書きたい人に向けてのワークショップも担当するのですが、「人に教えるなんておこがましい……」と葛藤を抱えながら、なにか書いてみたい人の背中を押せたらおもしろい作品が生まれるんじゃないかという思いから、やることにしました。
それでは、暑さと湿気にぎりぎり負けないように過ごしましょう!
かもめと街 チヒロ
次回の更新は「ブックバーひつじが」シモダさんです。(7/10公開予定)
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