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わけもなく落ち込んだ気分のとき。
「出かけよう」と思ったまま、ソファにどっぷりともたれてスマホを延々とスクロールして日が暮れた。
部屋に篭ればこもるほど、どこへいくにもとても遠く感じられた午後。
タイミングが合わず、いつも閉まっていた喫茶店のことを思い出した。
行ってみたかった場所は、あんがい近くにあった。
“営業中”の看板は、ドアの足元にちょこんと置かれていて、見ようとしなければ見落とすほど小さい。
この店のことを知らない人は、まさかここが店だとは思わないだろう。知っていたって「あれ、ここで合ってる?」と戸惑うくらい、さりげない佇まい。
それが、「珈琲とチョコレート 蕪木」。

おそるおそるドアを開けると、ダークチョコレートのような年季を感じるカウンターと戸棚が見える。左手には、一人用のテーブル席が三つ。
いちばん奥のついたてのあるテーブル席に座る。
どうやら女性はテーブル席に座り、男性はカウンター席へ行き店主の様子をじっくり眺めている人が多いみたい。
カウンター席は、特等席。ネイビーのコートジャケットを着た、優しい笑顔の店主の珈琲を淹れる様はうつくしい。
調度品のような、ちいさな銅色の手鍋がずらりと並ぶ戸棚に目を奪われつつ、閉店一時間前だというのに店内は気づくと満席に。
大人がこころを落ち着かせるために来る場所。ひとりで過ごす時間を大切にしている人が、ひっそりと羽を休められるところ。
どんな人でも、たぶんそんな場所が必要だ。
普段着で来ているおじいさん。珈琲にこだわりがありそうな、近所のおじさま。スーツのジャケットを脱いでくつろいでいるサラリーマン。ひとりで読書にも没頭している女性。
お客さん同士で話すことはないけれど、ここを愛する人とは仲良くなれそうな気がする。
バーのような、静寂な空間。ただ静かにまどろむ時間。
大人には、ときにはこんな時間が必要だ。
情報や刺激に溢れて、自分と向き合う時間を作ろうとしなくなってしまうわたしたちは、気づくと自分をどこかに忘れたままにする。そんな自分を取り戻すための場所。
余裕がないときは、自分を置いてきぼりにしているとき。決まってそういう時には、他人に責任転嫁したりして、いらだちを覚えたりする。
余裕がないときこそ、余裕をもつことが大切なのだ。
閉店までの一時間、スマホをオフにしてトートバッグへしまい、どこかへ行ってしまった自分と向き合うために、ノートを開いた。

珈琲とチョコレート 蕪木 店舗情報

珈琲とチョコレートの製造販売をしており、喫茶室で味わうこともできるお店。
味に詳しくなくても、店主に相談するとおすすめを教えてくれます。珈琲とチョコレートの種類にも相性があるそうなので、おすすめを聞くとより楽しめますよ。
店内は基本静かに過ごす場所。注意事項は「蕪木」のサイトをどうぞ。写真撮影については、ネット情報だと人がいないときはOKのようですが、聞いてみてくださいね。
蕪木の近くには、世界の紅茶が楽しめるカフェ「T」も。
手づくりのプリンが絶品です。ワンプレートランチも、一品一品味わって食べたい、優しい味。

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【ブログ更新】
#かもめと街の東京案内泊まれる本屋「BOOK AND BED TOKYO」で、自然光の中のんびり読書。浅草店は穴場らしいですよ…!
そういや #編集長稲垣吾郎 でも話題になってたお店!ここ最高。
泊まれる本屋で、静かな読書時間を。BOOK AND BED TOKYO浅草店へ https://t.co/vVIh1CKKBZ pic.twitter.com/Y9s15g8YOS
— チヒロ@街歩きエッセイスト (@kamometomachi) 2018年10月9日