「遊園地とはこういうものだ」と教えてくれたのは、日本最古の遊園地・浅草花やしきだった。
子どもの頃は何度も家族に連れていってもらった。浅草のシンボルのひとつでもあったBeeタワーは、カラフルなゴンドラが空を舞い、高く昇るにつれ、自分の住む街を俯瞰できる。
乗り物の扉ががしゃんと閉められると、家族だけの小さな空間が広がる。
お菓子の家をモチーフにしたゴンドラから見える景色は、いつも住んでいる世界とは違って見えた。ぎゅうぎゅうに建物が並ぶ下町で、広い空が見られる、つかの間の空の旅。
天と地がひっくり返る「びっくりハウス」や、星型のゴンドラが全回転するファンキーな乗り物。おどろおどろしい乗り物型のお化け屋敷では、乗りたいと言いつつ、ほぼ全て目も耳も塞いで何度も乗った。ボールを鬼型の的に当てて退治する鬼退治はヤケになって何度も必死にボールを投げた。
SPONSORED LINK
絶叫系が苦手なわたしがようやく乗れた、花やしきのジェットコースター。
現存する日本最古のコースターは、あまり落差がないので初心者でも安心して乗れるタイプ。友達に誘われて一度乗ってみたら、許容範囲のスリルが気持ちよくて連続で6回乗り、最終的に気持ち悪くなるまで乗りつづけた。
こじんまりとした園内だけど、その小ささが子どもにはちょうどよかった。広大な敷地は把握できないもどかしさがつきまとう。
かれこれ15年以上は行ってないけど、近くを通るたびにジェットコースターからは女性の悲鳴が聞こえてくる。その度に「お、今日も元気にやってるな」なんて声をかけたくなる。
次はいつ行こうかな?
SPONSORED LINK
花やしきについて
花やしきは1853年に花園としてオープンしたとのこと。だから花やしきだったのか…!その後、遊戯施設になり、珍獣や猛獣の飼育もしていたそう。当時の様子が気になります。
〈記憶の中の東京〉
東京の風景をエッセイで綴る企画を始めました。とある街で起きた出来事から、忘れていた思い出を書き留めます。できれば、ほぼ毎日22時に更新したい(予定)
記憶の中の東京、第1回は浅草・三社祭