「キングオブコントの準々決勝を見に行ってくるね」
連休最終日の朝、夫にそう告げた。
別にわざわざ今日の予定を全て伝える必要はないのだが、リモートワークのおかげで在宅が増えた中、なにも言わずに出るのもなと思い、託ける。在宅のちょっとした弊害である。
「いっぺんに20組も見たら、誰が面白かったのか忘れそうだからメモしてくるわ」と伝えると、「誰がどう面白かったか書いておいたら?」と返ってきた。
「それって次の準決勝に誰が進めるか照らし合わせて答え合わせする楽しみを味わうためってこと?そういうのあんまり当たらないんだよなあ」と返すと、「そうじゃなくて、己の自己理解のために」ときた。
自己理解!!!!おのれの!!!!
漫画だったら大声を表す吹き出しを使うか、テキストでも太文字を使えばいいのだけれど、すぐ太文字使っちゃう感じの見せ方がしっくりこないのでびっくりマーク多用で表現します。
要するに、自分がどんな人やどんな表現が面白いと思ったかを書いておけば、あとあと役に立つんじゃない?というアドバイスでした。たしかに。
記憶力が芳しいので、ライブへ行った帰りの電車では心に留まったことを書き殴ったり、舞台のセットを思い出してはスケッチしている。
すべては、思い出補完のためだ。楽しかったことを一瞬で忘れ去る自分のための、いつかのご褒美のために。笑えない日のために笑えるお守りを残しておく。
……もしかして、いままでのライブメモを読み解いたら、己の自己理解ってやつが深まるんだろうか。なにが面白くて笑っているのかわからないこともわかるようになるのかな?
でもって、それが分かったことで、おもしろい文章書けるようになったりする……?
ただライブへ向かい、最新のお笑いを生で味わってこようと思っていた体に、ずぅぅぅんと重力を感じた。

決勝でザ・ギースさんを見られますように

キングオブコントで優勝したら貸切にしたいほど好きな店⁈ー〈あの人の好きな店〉vol.01 ザ・ギースさん(前編)