その猫は、あたかもいつもの場所に戻るかのように、突然膝の上に座った。
店内をパトロール中のときなんて、見向きもしなかったのに、どういう風の吹き回しか。
でも、そこが猫のかわいいところ。こちらの思惑を全無視して好きなように過ごす姿に翻弄されるのだ。
猛暑の容赦ない暑さに、体力も気力も失われて、命からがら新宿の端にある喫茶店へ潜り込もうとすると、店の前にはマイペースに眠る招き猫がいる。
「こんにちは」と、声をかけて扉を開けると、まろやかな空気が流れる。週末の新宿で、席はほぼ満席にも関わらずのんびりとした雰囲気が漂っている。
それはきっと、2匹の看板猫が店を闊歩しているからなのかもしれない。
膝の上に飛び乗って、ぐうぐう寝出して1時間。1ミリも足を動かせない緊張感と、猫から伝わってくるホコホコの体温の心地よさ。少しでも足を動かせば「え、なに?」とばかりに目を覚ましてしまう。
人間は完全に猫の下僕。うむ、納得。
猫がなぜ、わたしの膝で眠り出したのか、考えてみた。
その1 なんだか落ち込んでそうだったから
その2 ベッドシーツのような服だったから
おそらく90%以上の確率で、その2に軍杯が上がる。
「そうだよね、慰めに来たわけじゃないよね。この服ワッフル素材で柔らかくて気持ちいいし、オフホワイトだからシーツみたいだもんな」
それでもいいんです。束の間(といっても足はしびれたけど)、そっと側にいてくれたおかげで、がちがちだった心がやわらかくなった。
ありがとう、また会いに行くね。
新宿のレトロ喫茶店〈カフェ アルル〉で看板ネコに出会う 店舗外観
新宿でレトロな喫茶店なら〈カフェ アルル〉へ。最寄り駅は新宿三丁目駅かな。駅から少し離れた商店街の中にあります。
いろんな置物が独特の雰囲気を作り出す中、右の真ん中下あたりにはホンモノの猫ちゃんが。
いた。どうも、こんにちは。
新宿三丁目の喫茶店〈カフェ アルル〉店内
〈カフェ アルル〉の店内は、漫画喫茶のようにたくさんの作品がずらりと並んでいます。そして、至るところに有名人の写真!お手洗いにまで貼ってあって、「おお、こんな人も!」って見入っちゃいますよ。喫茶店の本を出している菊池亜希子さんの姿も。
新宿三丁目という土地柄、エンタメ界のお客さんも多いのかもしれません。アルタもあったことですし。ちなみに、先日好きな芸人さんとお話しした際に、好きな喫茶店を聞いてみたところ、このお店のことを仰っていました。喫茶店でネタ書いたりするんだろうか。
駅から少し離れている分、新宿とは思えないほどのんびりした空気が流れていて、いつ行っても居心地いいんですよね。
あ!いた!
こちらの猫社員は「石松」。店の入り口にいた子が「次郎長」。会計のときにアルバイトの女の子に猫の名前を聞いたら、名刺をくれましたよ。
アルルの猫の話は、こちらの記事もどうぞ→猫社員は今日も働く 新宿三丁目「カフェ アルル」が猫を雇う理由(新宿区)
マスターは浅草生まれだったのか!居心地の良さの理由が垣間見れる、素敵な記事です。
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新宿三丁目の喫茶店〈カフェ アルル〉メニュー
〈カフェ アルル〉ではウィンナーコーヒーをいただきました。たっぷりの生クリームにきらきら光るざらめがトッピングされています。
そして、お通しにバナナとジャイアントコーンも!コーヒーの値段を忘れてしまったのですが、新宿なのにどのメニューも結構安いんですよ。それなのにおやつまでつくなんて。
初めて行ったとき、そんな心遣いにもじーんとしました。お菓子まではわかる、バナナはお客さんの健康を考えてくれてるような気がして。
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猫店員の動向をそわそわと見つめていたら、急にヒョイっと膝の上で眠り出しました。
手が…かわいい…!(その後1時間固定)
石松、そうとうイケメン。
「ありがとう、そろそろ帰るね」と声をかけたところ、「仕方ないな」って感じで隣のソファへ移りました。なんてかわいい。帰りたくなくなるじゃないか…
気まぐれな猫がもたらす、優しい時間。新宿とは思えないほど、ゆるやかな空気のレトロ喫茶店。わざわざ行きたくなる、素敵な店です。
※2021年4月追記:好きな人に好きな店を聞く企画「あの人の好きな店」で、芸人のザ・ギース 高佐さんもお気に入りの店として「カフェ アルル」を紹介してくださいました→キングオブコントで優勝したら貸切にしたいほど好きな店⁈ー〈あの人の好きな店〉vol.01 ザ・ギースさん(前編)
新宿三丁目の喫茶店〈カフェ アルル〉店舗情報
関連記事:根津の猫がいる喫茶店
谷中散歩でネコのいる根津の喫茶店「ル・プリーベ」に出会う休日。