わたしとオザケン

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〈いちょう並木のセレナーデ〉を初めて聞いた瞬間が忘れられない。

あれは2000年の秋。江古田〈BUDDY〉で、大学の先輩が演奏したライブでの出来事だった。

当時は今のように簡単に録音できるものがなくて、録音もできるMDプレーヤーも持っていなかったから、手持ちのミニカセットレコーダーを忍ばせて録音した。

記録に残すのが、今よりももっとハードルが高かった時代。録音はしたものの、「この歌声を覚えておこう」と脳内最大の記憶装置を使ったせいか、今もきちんと覚えている。

そのときわたしは大学1年生で、授業よりもサークルが楽しくてしかたなかった時代。

演奏が終わって余韻に浸っていると、その場にいた女子がみんな、「…いい声だったねぇ」と口々に言った。

恋に落ちて贔屓目に見てるせいかと思ったけど、そんなことはなくて、あの歌声は、最大公約数の女子が好きな、甘くてまろやかで繊細だったように思う。

オザケンがいっぱいテレビに出てた頃、わたしは中学生で、その魅力に気づくことができなかった。

そんな、いわゆるブームの時期を経て、今はどこで何をしているのかすらベールに包まれた時期になってからオザケンの魅力に目覚めたのは、今でもちょっと後悔している。

あのライブをきっかけに、〈LIFE〉を何度もなんども聞いて、中古レコード屋を巡っては昔の8cmシングルを集めて回った。

新宿ロフトの早朝。オールナイトイベントのラストに流れた〈恋しくて〉に震えた瞬間。

今でも「ここぞ」というときには〈ある光〉を聴いてスイッチを入れる。

2019年のいま、〈彗星〉が聴けてほんとうに良かった。

嬉しいことと、やり切れなくて胸が苦しいこととかが一緒くたにやってきて、気持ちの折り合いのつけ方に困ってたところだったから。

そんな感情をまるっと包み込んでくれるような曲に出会えたおかげで、今年の冬もなんとかやっていける気がしている。

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