地下に続くダンスホール。
1段1段降りていくたびに胸が高鳴る。
過去へ遡っていくかのような錯覚を覚えながら、入口へ向かう。豪華なシャンデリアにステンドグラス。
なんと、地下2階までフロアが広がっているようだ。こんなところにあったとは。
ワインレッドのソファは、ぎゅっと体を支えるかのようなハリのある座りごごち。ここなら長時間座っていても疲れないだろう。
平日のお昼過ぎに行ったせいか、店内は貸切。
BGMは何処かの国のラジオ。日本語じゃないのが落ち着く。
いまでは貴重なタバコが吸える場所。営業まわりの休憩中、背の高いサラリーマンは3本目のタバコに火を付ける。近くで働いていそうな、金髪の女性もタバコをふかす。
喫茶店にひとりで来ている人を見つけるとホッとする。それはきっと、ひとりの時間が必要なのはみんな同じなのだということを実感するからなのかもしれない。
東京オリンピックが開催された、昭和39年創業の〈丘〉。50年以上の時代の流れをずっと見つめてきた、上野の喫茶店。
上野の純喫茶めぐり。1964年創業の〈丘〉でクリームソーダを 店舗外観

上野は古くから人が集まる街のため、大箱の喫茶店がいくつもあります。
何度も通っているはずなのに、通うようになったのはここ最近。ずっと行きたかった〈丘〉は、上野の隣駅である御徒町(おかちまち)駅が最寄りです。
上にぎゅーっと持ち上げた長体のロゴがいい感じ。

あたりのビルを見渡しても、ここだけ異世界。同じビルには病院が入っていました。
地下へいざなうシャンデリアとステンドグラス。


タイルも年季を感じさせます。

カリブの海賊の入口みたいだな…

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上野の純喫茶めぐり。1964年創業の〈丘〉でクリームソーダを 店内

〈丘〉の店内はこんな感じ。カーブを描く天井とシャンデリアにステンドグラスとゴージャス。上野の喫茶店は華やかさを競い合うところが特徴なのかもしれません。
鶯谷にあるライブホール〈東京キネマ倶楽部〉の雰囲気を思い出しました。

あいにく地下2階はクローズしていたので、地下1階で休憩。どこもソファーでふかふか。ラジオの音も小さくて落ち着く。お天気が良くても地下に籠りたい日ってありますよね。そういうときにぴったり。
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シャンデリアの横が地下2階へ続く階段。奥に見えるのは会計レジ。ホテルのフロントっぽいのが素敵。


上野の純喫茶めぐり。1964年創業の〈丘〉でクリームソーダを メニュー

〈丘〉のランチ、カレーからナポリタン、サンドウィッチなどなど、結構充実していました。モーニングもやってる模様。
この日はランチを食べ終えた後に休憩で来たので、クリームソーダを。

クリームソーダ650円、けっこうたっぷりサイズ。ボルドーのソファにマッチする緑色のしゅわしゅわ。しばらくぽかーんと読書して楽しみました。
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もう現実世界に戻ってこられないんじゃないかってくらい、異空間の世界。扉をあけてあっという間に外の世界へ切り替えるのは難しい。
でも、〈丘〉なら大丈夫。地下から入口まで、じっくりとこちらの世界と橋渡しをしてくれるから。

どこもかしこも見応えがあって、入るときには気づかなかったタイル。

マジョリカタイルかな?

ひとりになりたいとき。時間を忘れて友達とお喋りしたいときに来たい、上野の純喫茶。

上野の純喫茶めぐり。1964年創業の〈丘〉でクリームソーダを 店舗情報
関連記事:上野の純喫茶めぐり。ハシゴするなら〈古城〉や〈王城〉も。

うつくしい純喫茶の美術館。ヨーロッパの城をモチーフに。〈古城〉-上野