大きなことだけが注目されるのは世の常。けれども、とある田舎に住む40代を目前に控えた男の悩みは、小さいようで大きい。
閉塞感、青空が見えないどんよりとした重い冬の空。高層ビルなんてなくて、空は広くて見晴らしのいい場所だって独り占めできる。鬱蒼とした森の中で、静かに時を過ごすこともできる。
縛られていないような場所にいるようで、なにかに縛られ続けている登場人物たちの冬の物語。
先日、六本木ヒルズで行われていた東京国際映画祭へ行ってきました!めあては、稲垣吾郎さん主演の『半世界』を観に。
せっかく素敵な作品を観に行ったので、ほぼネタバレなしで感想を書き留めておこうと思います。
※1ミリもネタバレ聞きたくない方はスルーしていただけると良いかも・・・!すみません。
東京国際映画祭・tifのチケットについて
毎年10月末ごろになると、ニュースで流れてくる東京国際映画祭の話題が気になっていました。ふだんあまり映画を観ないので、行く機会にも恵まれませんでしたが、公開前の映画が一足早く観られるんですね。
今回はスケジュールが合わず、見送ろうと思っていたところでしたが、『半世界』が東京国際映画祭で観客賞を取ったというニュースを聞き、再度上映されるとのことで観に行くことに!
東京国際映画祭(tif)のチケットは、ネットで購入後、画面に表示されるQRコード(メールでも送られてきます)を映画館の入口でスタッフに提示するだけで入れて便利。
チケット引き換えいらずのシステムってありがたいですよね・・・!(2018年現在)
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東京国際映画祭の上映会場・TOHOシネマズ六本木ヒルズ
地下鉄から直通のエレベーターで六本木ヒルズの中へ。
では、ひと足早く映画を観た感想を。
稲垣吾郎主演『半世界』感想について
『描いた人生になってる?』
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40代を目前に控えた、田舎の男たちの日常。
キラキラする要素は1ミリもなく、ただなんとなくやり過ごす日々を過ごす。そんな時に “ ワケあり ” 風に戻ってきた一人の同級生の存在から、閉塞感を抱える3人の日常が動き出す。
八方塞がりに見える彼らの日常に寄り添うように紡がれるストーリー。
日常において、なにかが劇的に変化することは滅多にない。
誰かを必死に助けたかったり、苦しい状況を変えたくても、むりやり変えようとすれば、こんがらがった糸のようにこじれるだけ。
どうしようもない問題をいとも簡単に打開してくれるのは、ほどよい距離感がある他人だったりする。
自分が抱えている悩みが、他人にはちっぽけに見えることがある。けれど、悩みはその人のものであって、他人の悩みのレベルと比べられるものではない。
どうしようもできない日常に、どう折り合いをつけていくかは自分次第であって、そのきっかけは他人がもたらしたものであったりする。
生真面目で不器用な男たちが、夜の海で子どものようにはしゃぐ姿は、なにもなかった ” あの頃の自分たち ” に戻っているようで、涙が止まらなかった。
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物語は、とある田舎に暮らす40代を目前に控えた3人の男性を中心に進んでいきます。思春期を迎えた息子の扱いに無関心な父親を演じるのが、稲垣吾郎さん。
三重県を舞台に、備長炭の炭職人で生計を立てつつ、これからの行く末に頭を悩ませる姿。家族という近い存在だからこそ、ぶつかりあって傷つけ合う。
家庭での閉塞感にあふれる描写は、わりと誰しも子どもの頃を思いおこすのではないでしょうか。観ていて胸が痛くなりました。
その中でもみんな、どこかで自分一人の息抜きできる時間を大切にしている描写に、救われる気持ちに。奥さん役の池脇千鶴さんのふとした表情やしぐさにも胸を打たれます。
『半世界』は、来年2019年2月公開。劇場で作品と対峙できる日を楽しみに待っています。
※前売り券の販売について:カード本体ではなくて、メールが届く形式のものをAmazonで見つけました。これ便利。『半世界』映画前売り券(Eメール形式)
広告専門誌「ブレーン」にも新しい地図の広告の背景が載っているようです。これは読みたい。
次に読むなら、映画『クソ野郎と美しき世界』レビューを
もっと、世界の「いいところ」を見つけよう。 #クソ野郎と美しき世界