目的地をひとつだけ決める。
そこへたどり着くまでの過程を楽しむのが好きなのかもしれない。
目的地までの所要時間を2倍に膨らませるわたしの散歩は、非効率的でヒマジンの極みだとは気づいている。
けれど、そうやって今まで見逃した景色から再発見することも多く、回を重ねるごとに同じ道がどんどんと楽しくなってくる。
見えないものがありすぎて、それが見えた時の嬉しさよ。無知だからこそ、フレッシュな気分で楽しめるのかもしれない。
たいていの目的地は店であることが多いけれど、最近では目的の店と同じくらい、道端での発見に惹かれている。
ということで、いつかの冬の晴れ間の散歩記録です。
今日の目的地は、ここ。

関連記事:清澄白河のおすすめカフェ〈POSH ポッシュ〉で「焼かないタルト」を
新大橋から清澄白河へ

スタートは、隅田川に架かる新大橋から。

コンパスのような二等辺三角形の橋は、視界を遮らず、川から空への開放感が気持ちいい眺め。
歌川広重が描いた「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」でも有名な場所。

大雨の様子がシャーっと細い線で表現されたところが好き。それから右から2番目の人たち、ひとつの傘に3人入っているところも好き。
ここを通るたびに、この作品を思い出して興奮しちゃう。
最近では、海洋堂がこの作品をモチーフにしたミニチュアコレクションを製作していましたよ。
新大橋を渡り、右手に進むと清澄白河方面へ。
さっそく発見しました、〈芭蕉そば〉という立ち食いそば屋さん。


「芭蕉そば」に「奥の細道うどん」、気になる
この辺りは芭蕉ゆかりの地なんだそうで、記念館もあります。

気になるけれど、今日はケーキを食べに来たので次回に……!
清澄白河のヴィーガンカフェ〈POSH〉

今日の目当てはこちらのスイーツ。
「焼かないタルト」って、じゃあ生地どうしてるの?と気になったので来てみました。
カフェの話はこちらの記事で。
関連記事:清澄白河のおすすめカフェ〈POSH ポッシュ〉で「焼かないタルト」を
ピーター・アイヴィーさんのプレートが欲しくなる。家でほとんどスイーツ食べないけれども。最近はねじ伏せていたうつわへの愛が抑えきれず、ちょこちょこと買っています。
POSHを出て、隅田川沿いの方へ向かうと、なにやらこんなところが。
芭蕉スポット・その1


この辺りに松尾芭蕉が住んでいた、とされる場所だそう。

ニッ、って笑っているようでかわいい。
いろんな神様がいるんだな

大人になったらニキビのことは吹き出物って呼ぶんだよ、って言われたことをふと思い出しました。
萬年橋でくじらに遭遇

萬年橋のたもとにある、まるでジェットコースターのようなレールがついた建物は、地図やことりっぷなどのガイドブックでおなじみの昭文社。くじらみたいなフォルム。
隅田川テラスの方へ戻り、気になる展望台へ。

それにしてもいい天気だな。
芭蕉スポット・その2:永代橋が見える見晴らしのいいテラス

こちらは、芭蕉庵史跡展望庭園。
手すりの左に見える小さなポストは、なんと投句箱!

毎年1回コンテストがあるもよう。きっと俳句好きな人にはメジャーなんだろうな。
展望台っぽさのある上り階段。

わ!松尾芭蕉が待ってた!


この展望台からは永代橋と新大橋が見渡せる、実は絶景スポットでした。

ズームレンズがないから、新大橋あんまり撮れてないけれども。

この辺で働いていたら、ここでお昼ごはん食べてひなたぼっこしてたかもしれないな。
街との境界線が心地いい曖昧さのカフェ・清澄白河〈iki espresso〉
この辺りは工場なども多く、カフェが点在しているのが散歩にもちょうどいいんです。
偶然見つけた〈iki espresso〉も、いつか行こうと思ってそのままだった場所。


奥のスペースにはゆったり過ごせるテーブル席があるけれど、さくっと休みたい人用に入り口にはカウンター席がいくつか用意されてるのがいい。

街の風景が見られる席が好き。

ラテアートも、白鳥が舞っているかのような繊細なタッチで、さすがコーヒーの街・清澄白河!

ここで東京都現代美術館のチラシを見つけて、後日〈ユージーン・スタジオ〉展へ行ったのでした。その話はまたいつか。
カンを頼りに両国駅へ向かう
他にもいろんな場所に寄ろうと思ったものの、予想以上に興奮スポットを見つけたため終了。
この辺の土地勘は多少あるので、危険を承知で(方向音痴です)Googleマップのお世話にならずに両国駅へ向かいます。
立派な宮造りの銭湯〈常盤湯〉

さっそく見つけました、最高スポット!
ばばーんと大迫力の佇まい。立派な瓦屋根にも注目ですが、タイルがやっぱり気になる。

グリーンのマーブルタイルにコバルトブルーの配色、どこかでも同じようなの見た記憶が……小田原のとんかつ店だったような……。この配色、流行ってたのかな。
あいにく銭湯の開店時間には早かったので、こちらも後日の楽しみに。
コーヒー飲んだ後に銭湯行くの、どうです?
気になるレトロタイルの建物が続々

森下の方まで歩くと、ずっと気になっていたミートショップ山越のタイル。配色が最高。
若竹色のタイルにピンク色の屋根。絵本に登場するおとぎ話の家のようでかわいい。
ここも次回のお散歩候補に。
そして、おせんべいのようなきつね色グラデーションのタイルは家具屋さん。

赤い丸文字のフォントもレトロでキュートです。

ぎゅーんと飛んで、両国駅の近くで見つけた美容室。

真っ赤な正方形タイルに黄色の背景。美容室というより中華屋さんのよう。
ロゴデザインもシールにしたい可愛さ。「ラーク」の棒線が見事にクに繋がっているところがなんだか好き。太字のパーマも。こっちの棒線はまっすぐなのね。
ということで、散歩終了!
所要時間、だいたい4時間
今回は、新大橋から清澄白河、森下、両国へ。
距離にしてみれば、たいした長さではないものの、思った以上に発見のあるルートでした。
あえて決めない・そして調べないからこそ発見に出合える。そのおもしろさにジワジワとハマりつつあります。
決めない散歩。東京・丸の内から神保町
